気付けなかった「愛」

今日たまたま、前の職場を辞めた時のこと思い出したんだ

みんな、泣いてくれたんだよね。わたし、嫌いな人ももちろんいるけど基本的に人は好きなんですよ。まあ色んな人がいるけど、この人はここが良い所、あそこが良い所、っていうのを発見して、確かに厄介な部分もあるけど、良い所を愛して。大好きを、たくさん振りまいて仕事してた。

前の所では、辞めるのが公表されるまでわたしはその人が辞めるなんて全然知らなかったから、みんな言ってないのかなと思ってずっと黙っていた。否、言い出しにくかったのもある。でも、言わないなんてみんなを信頼してないみたいだな……とも思っていた。

色々と打ち合わせミスでわたしは公表されてすぐに辞めることになった。

本当はあと1カ月ある予定だった。だから公表されたらゆっくり挨拶に回ろうと思っていた。急にバタバタ辞めてしまった。辞めるまでに会えなかった人もいる。これは本当に申し訳ないと思ったし後悔した。

最終日は上がりの時間も超えて、会いたかった人に会いに行って挨拶をしたのだけれど、辞めると伝えるとみんな「だめよそんなの」「それは寂しくなるね」「あなたが一番良かったのに」「あなたはとても良い子だったね」と言ってくれて。嬉しくてボロボロ泣いてしまったんだよね。こんなに泣くとも思わなかった。急だったから心の準備も出来ていなくて。まさかこんなに大切にされているとも思わなくて。

「せいせいした?」「今どんな気持ち?」と心無い言葉を投げてきた人もいる。その人たちの言葉は、すごく刺さった。暫く立ち直れなかったな。

たくさんの人から愛のある言葉を頂けて、わたしはこんなに愛されていたのだと初めて気がついたんだよね。

仕事は全然効率良く出来なくてみんなの足を引っ張ってばかりいたし、迷惑ばかりかけていると思ってた。

正直足手まといで邪魔だろうと思っていた。だってわたしの分の仕事まで手伝ってくれるんだもん。

みんなの正直な気持ちはきっと、わたしの思っていた通りだと思う。でも、たくさん愛のある言葉を投げかけてくれて。

辞める前にもっと投げかけて欲しかった、などと欲張りなことも考えたりして。

わたし、小さい頃はお母さんのこと大好きだったし、お母さんに認められたい、受け入れられたいと思っていたけど、全然そんなことなかったんだよね。

世界で一番愛されたかった人に愛されなかったから、こんなに職場のみんなに愛されてるだなんて思いもしなかった。

大好きを振りまいていたら大好きがたくさん返ってきたの、本当に嬉しかった。

どんなにこちらに気持ちがあっても上面な関係なのだろうと思っていた。わたしと母さんのように。

家族と暮らしていた時は「お前なんか無理」「何もできない」「絶対に一人でやっていけない」と罵倒された記憶しかなくて。

その先入観?いや、洗脳?もあって、わたしは何をするにもダメだと思い込んでいる節があるのだけれど。

「あなたならどこでも大丈夫」と言われたの、初めてだった。

お母さん、本当にわたしのこと愛してなかったんだなぁ。

と思ったら、久しぶりに涙が止まらなくなった。愛されたかったな。