幼少期の話-2

父と離れて暮らしても、時々電話で話したり、年に2度ほど帰ってきたり、関係は良好だった。

母と兄弟4人の暮らしも変わりなかった。大人になるまでは、兄や弟とは決して仲がいい関係ではなかった。兄は構ってくれないし無視してくる。兄だけが持ってるゲーム機器や漫画は貸してもらえず、兄の部屋に入ることも許されない。弟とは「お前なんか〜!」「死ね〜!」など毎日殴り合いの喧嘩ばかり。仲良くすることは、なかなかできなかった。

わたしは生まれつき人見知りで、親の後ろに隠れて出て来れない性格だった。一方で、わたしを中心に世界が回っていると思うようなワガママで自己中心的な面もあった。

幼少期のある日、母と弟とスーパーへ買い物へ行った。子どもならみんなおやつを買いたがるであろう、わたしもその1人だった。「ひとり100円までね」と言われ選んだおやつはもちろん100円以下、弟は100円以上のおやつを手にして母の元へ駆け寄った。根は真面目なわたしは「そのおやつは駄目だよ!ねえお母さん!」と母に詰め寄る。駄々をこねる弟。すると母は「もう、仕方ないなぁ」と許してそのおやつを買うのである。わたしは納得がいかず、買おうと思っていたおやつは買わなかった。

ある日、夕飯でおかずがあまり、争奪戦に発展した。

「わたしも食べたい!」「お前は駄目だよ!俺が食べるの!」「なんで!わたしも食べたい!」「え、お姉さんが食べるの?」「俺が食べてもいい?」「いいわよ。」

すべて優先されるのはわたしではなく弟ばかり。

この時、世界がわたしを中心に回っているのではないのだと自覚させられた。

それから、「わたしは選ばれないんだ……」「わたしはだめなんだ」と、いけない存在なのだと思うようになってしまった。

幼少期に目立った「自己中でワガママなわたし」は、小学校に上がる前、幼稚園のこの時に死んだ。